アブストラクト(26巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Radiopulmonary cardiogram(RPCG)による心臓弁膜症の血行動態に関する研究とくに三尖弁閉鎖不全を伴う僧帽弁膜症について
Subtitle : 原著
Authors : 土井収二, 麻田栄
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 11
Page : 1400-1413
Year/Month : 1978 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁膜症59例および大動脈弁膜症6例に対し, RPCGおよび肺シンチスキャニングを施行し, 右心-肺循環時間(R-P), 肺-左心循環時間(P-L), 右心-左心循環時間(R-L), R-P/P-L比, 肺血流分布上/下比などを測定し, 以下の結果をえた. 1)AI, MI, MS, MSIでは, P-L時間が延長し, R-P/P-L比が低値を示したのに対し, MS, I+TIでは, R-P時間の延長が著明で, R-P/P-L比は高値を示した. また, 各疾患のRPCGの波形は特徴的であり, 各疾患相互をおおむね鑑別することができた. 2)僧帽弁膜症における肺血流分布上/下比は, 1.0以上の高値を示し, 左房圧, 肺動脈圧と正の相関を示した. また, 上/下弓は左心不全の際にも内箱(2.4以上)に上昇することを知った. 3)MS, I+TI例のうち, 心不全例のR-L時間は16秒以上を示し, R-L時間の延長が著しい程, 心不全が重症であった. また, R-P時間の延長が著明で, R-P/P-L比が高く, しかも上/下比の上昇が軽度であった症例は, 右心障害(TI)が高度な症例であり, P-L時間の延長が著明で, R-P/P-L比が低く, しかも上/下比が高値を示した症例は左心障害の高度な症例であった. 以上のように, 心不全の重症度と成因, TIの重症度などを推測することができた. 4)心肺循環時間は, 心不全の臨床症状が消失するのと相前後して改善されたが, 上/下比は, その後なお3~4週間を要してもとの値にまで改善された. 5)弁置換などの手術は, 上/下比が2.4以下, R-L時間が16秒以下になるまで待機したのちに実施されることが望ましい. 6)非観血的で, 簡便な本検査法により, 頻回に血行動態を検討して, 手術時機の決定に資するのがよい.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Radiopulmonary cardiogram, 心肺循環時間, 肺シンチスキャニング, 肺血流分布上/下比
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