Abstract : |
神戸大学第2外科教室において根治手術が行われたフアロー四徴症73例に対して, 手術前後, 根治術後1ヵ月, 根治術後6ヵ月から最長10年にわたり, 心臓カテーテル法を用いて血行動態の推移を追求した. 根治術直後の心内圧の測定から, 右室流出路・肺動脈狭窄(以下PSと略す)の除去と肺動脈弁閉鎖不全(以下PIと略す)が根治手術の成否を決定する重要な因子であることが判明した. PS解除の指標としては, 右室対左室収縮期圧比(以下RVILV圧比と略す)が0.7以下となることが必要であり, PI発生の予防には, 弁つき流出路パッチの逢着が有効であった. 根治術後に血行動態が安定した1ヵ月では, 手術々式と関連した種々の合併症-例えば遺残PS, 肺高血圧症(以下PHと略す), PI, 右心不全など-がみられた. また末梢肺動脈狭窄(以下PPSと略す)を有する症例には, 予め短絡手術を行うことが有利であった. 根治術後1年以降では, 術後1ヵ月でみられた種々の合併症は, 多くの症例で改善され, とくに右室流出路にのみ限局性の狭窄を有する症例(I型)では, ほぼ全例が正常に近い心内圧を呈した. しかし肺動脈分岐部にまで狭窄が及んだ症例(III型)の中には, 遣残PSのために長期間にわたって右心不全が持続した例もみられた. |