アブストラクト(26巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 急性僧帽弁閉鎖不全症における血行動態影響因子に関する実験的研究
Subtitle : 原著
Authors : 河村剛史*,**, 和田寿郎**
Authors(kana) :
Organization : *東京女子医科大学第1外科学教室, **日本心臓血圧研究所外科部門
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 12
Page : 1546-1555
Year/Month : 1978 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 最近, 心筋梗塞後の乳頭筋機能不全や乳頭筋断裂および腱索断裂などの原因による急性僧帽弁閉鎖不全症が注目されている. 治療面においても従来の強心剤の投与の他に, 血管拡張剤が新しい治療法として用いられてきている. しかし, 強心剤や血管拡張剤が急性僧帽弁閉鎖不全症の血行動態にどのような影響をおよぼすかについてはまだ充分に解明されていない. 今回, われわれは急性僧帽弁閉鎖不全症を実験的に作成し, 強心剤や血管拡張剤の血行動態におよぼす影響を検討した. 雑種成犬18頭を用いて左室心尖部-左心耳間に外シャントを置き, 急性僧帽弁閉鎖不全症を作成した. 実験は3群に分け, I群はコントロール群, II群はPhenoxybenzamine(POB)投与群, III群はNoradrenaline(Norad.)+POB投与群とし, 逆流作成後90分間の経過観察を行なった. I群は僧帽弁逆流量, 前方拍出量, 逆流量比の変化はなかった. II群のPOB投与群は憎帽弁逆流量の減少(44.4±6.3%)がみられたが, 前方拍出量も軽度減少(12.6±8.4%)しており, 逆流量比の減少は少なかった(0.75±0.02→0.65±0.06). III群のNorad.+POB投与群は著明な逆流量の減少(74.7±7.3%)がみられたが, 前方拍出量は維持されており, 逆流量比の著明な減少(0.74±0.02→0.45±0.07)がみられた. 僧帽弁逆流影響因子の中で, POBにこよる後負荷の減少よりもNorad.の心収縮力の増強作用が僧帽弁逆流に大きく関与していると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 急性僧帽弁閉鎖不全症, 僧帽弁逆流量比
このページの一番上へ