アブストラクト(26巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 気管支内脂肪腫の1手術治験例
Subtitle : 症例
Authors : 桑原修, 中島篤巳, 田中英之, 越山健二郎
Authors(kana) :
Organization : 国立療養所刀根山病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 26
Number : 12
Page : 1573-1579
Year/Month : 1978 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 50歳, 女性, 咳と発熱の主訴で胸部レントゲン検査をうけ, 左肺門部に腫瘍陰影を発見された. レ線像では典型的な左上葉の無気肺像を呈し, 気管支鏡検査所見では, 左上幹は, 粘膜を有し血管に富んだ腫瘍で閉塞し, 上下気管支の分岐は不明瞭であった. 組織診, 細胞診の結果は, 未分化癌の疑いがあったので左肺の全摘を行った. 切除肺の気管支を展開すると, 左上幹開口部に境界明瞭な1.8×1.2×1.0cm大の腫瘍が認められた. 割面は黄色均等質であり, 組織検査ではよく成熟した気管支内脂肪腫と診断された. 気管支内脂肪の原因は不明であるが, 正常の気管支壁に存在する脂肪組織から発生し, 一般に閉塞性肺炎の病像を呈する. これは男性に多くほとんどが太い気管支に発生している. 経気管支鏡的切除は初期の症例にはよいが, 肺気管支の不可逆性変化の強い症例には適当ではない. このような症例や肺癌を否定できない場合は肺切除術を行うべきである. 本症例は内外の文献上100例目に相当し, 本邦の3例目になる. 「諸言」咳, 痰, 発熱などを主症状とした閉塞性肺炎像を呈する疾患には, いろいろなものが考えられるが, 肺癌の多い現在ではともすれば良性腫瘍が忘れられがちである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 気管支内脂肪腫, 気管支の良性腫瘍
このページの一番上へ