アブストラクト(27巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 感染性心内膜炎(Infective Endocarditis)の外科治療 第1報 心のMycotic Aneurysm 8例の臨床像
Subtitle : 特掲
Authors : 島津和彦, 石原和明, 黒沢博身, 北村信夫, 橋本明政, 和田寿郎
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学外科学第1講座, 日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 1
Page : 30-45
Year/Month : 1979 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 8例の心のMycotic Aneurysmを呈示し, 病態像, 血行動態, 手術治療につき検討を行った. 8例中7例はInfective Endocarditisの病歴を有し, 1例は微生物感染の明瞭な根拠を欠くため, 根拠不足例である. Primary I.E.例6例, Secondary I.E.2例である. Primary I.E.例6例は4例に大動脈弁疾患, 1例に大動脈弁疾患と僧帽弁疾患を基礎心疾患に有した. Secondary I.E.例2例はとくにVSD+AIの術後であった. 内科治療のみ2例, 外科治療例6例である. 外科治療例6例中, I.E.のHealed Phaseの手術例1例, 不明例1例, Active Phaseの手術例4例である. 血行動態の基本は急速に進行した高度のAIであり, 左室が充分Volume Overloadに順応できず, 小L.V.E.D.V.I.で, 代償として頻脈となるところへ, 本疾患に特有の完全A-V Blockが追いうちをかけるため, 非常に重篤である. 早期のAIの解除の必要がある. 8例全例に直視下形態学的検索を行った. Aneurysmは, 全例大動脈弁周辺にある. 大動脈弁に対するCoronar Sectionの検討では, 全バルサルバ洞部に存在し, 突出方向に特異性はない. Saggital Sectionの検討では明らかに3つのTypeに分類できる. 大動脈弁輪上部大動脈壁, 大動脈弁輪, 弁輪下部心筋組織内の3つに分類でき, 著者はこれをSupraannuler Type, Paraannuler Type, Subannuler Typeの3つに分類した. この3型では病態像, 手術手技上大きな相違があるが, 術前大動脈造影で判別可能である, なお1例で左冠動脈起始部を動脈瘤内に含むものがあった. 手術は6例7回に行われた. 全例Orificeの処理のみを動脈瘤に関し行った. 直接閉鎖2回, Patch閉鎖5回であるがTeflon Velour Patchを用い, Patch Closureを行ったものが, Paravalvuler leakage, Orificeの再開通, Re-Infection, 破裂を見ず充分なfollow up期間を得て良好な結果である. 今回の手術例のシリーズに含まれなかったが, 冠動脈開口部を含むものではCooleyの方法を用いるなど考慮が必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Mycotic Aneurysm, Infective Endocarditis, A-V block, Patch Closure of Orifice, Morphological Classification
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