アブストラクト(27巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Radiopulmonary cardiographyによる僧帽弁膜症の術後の血行動態に関する研究
Subtitle :
Authors : 岩崎泰憲, 麻田栄
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 1
Page : 63-76
Year/Month : 1979 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁膜症67例を対象とし, 術後遠隔期の血行動態をRadiopulmonary cardiographyにより, 各術式別に右心-肺および肺-左心循環時間(R-P時間およびP-L時間)を求めて, 比較検討し, 次の結果を得た. 1)交連切開群(MCT群)のうち経過が良好な症例のP-L時間は正常群との間に有意差を示さず, 非常に良好な血行動態に改善されていた. しかし, 再狭窄例およびMIが残存した症例では, P-L時間が著明に延長していた. 2)TIを合併しない僧帽弁置換群(単独MVR群)のP-L時間は, 正常群およびMCT群にくらべ, それぞれ有意に延長していた. この事実は, 僧帽弁口に移植された人工弁が, 左心系に軽度の負荷を与えていることを示唆するものである. 一方, 中心流が得られるHancock porcine xenograft移植例の循環時間はほぼ正常値を示し, この弁の優秀性が明らかとなった. 3)僧帽弁置換時に合併するTIを放置した症例の, 循環時間, とくにR-P時間は他群と比較して著明に延長していた. よって合併するTIは, ごく軽度であっても, また基礎疾患がMSであれ, MIであれ, これを放置すべきではなく, 外科的処置を加えるべきであると考えられた. 4)合併するTIに対して, 三尖弁輪形成術(TAP)を行った症例の, R-P時間は, 単独MVR群との間に有意差を示さず, TIに対するTAPの効果が充分に認められた. しかし, 高度の肺高血圧症や三尖弁の器質的病変を伴った症例では, TAPの効果には限界があることを知った. 5)合併するTIに, 三尖弁置換術を行った症例のR-P時間は, 単独MVR群およびTAP群よりも, それぞれ有意に延長していた. すなわち三尖弁口に移植された人工弁は右心系に軽度の負荷を与えていることが明らかになった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁膜症, 三尖弁閉鎖不全症, Radiopulmonary cardiography, 99mTc-Pertechnetate, 心不全
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