アブストラクト(27巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の深部体温測定と血行動態パラメーター
Subtitle :
Authors : 本田剛彦, 加畑治, 近江三喜男, 羽根田潔, 田林晄一, 浜田幸男, 横山温, 佐藤尚, 小泉誠二, 香川謙, 毛利平, 堀内藤吾
Authors(kana) :
Organization : 東北大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 2
Page : 148-154
Year/Month : 1979 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後の経時的な心機能の評価は, 術後管理上, 最も重要であるが, 心機能の1つの表現である末梢循環動態を, とくに深部体温を測定し, 他の血行動態パラメーターと比較検討した. 対象としたのは, 後天性心疾患開心術21例, 先天性心疾患開心術8例および非開心術3例の計32例で, これらに術直後から最長116時間, 延べ175回にわたって, 以下に示めす血行動態パラメーターを測定した. 1)深部体温計により中枢深部体温, 末梢深部体温. 2)Swan-Ganzカテーテルにより, 中心静脈圧, 混合静脈血ガス分析および熱希釈法による心拍出量, 3)動脈チューブにより動脈血ガス分析と動脈圧の測定である. これらの測定値から深部体温較差(DBT.Diff), 心係数(CI), 動静脈血酸素含量較差(A-VO2 Diff), 全末梢血管抵抗(TPR), を算定した. 代表的な4症例についてDBT.DiffとCI, A-VO2 DiffおよびTPRとの間に相関々係をみとめた. さらに32例について, 総体的に検討してみると, 1)CI 2.0L/min/m2以上と測定された場合の90%. 2)A-VO2 Diff 7.0vo%以下と測定された場合の87%. 3)TPR 0.5~1.6mmHg/ml/secと算定された場合の83%のそれぞれがDBT.Diffは6.0℃以内に分布した. これらの事実からDBT.Diffの変化は, ほかの血行動態パラメーターの変化をよく反映し, かつ, DBT.Diffが6.0℃以内に安定収束する場合は, CI, A-VO2 DiffおよびTPRはほぼ正常範囲内に分布していることが明らかになった. 深部体温測定は, 開心術後の血行動態の変化を非観血的に早期予知し, 心機能, 末梢循環動態の判定, 評価を助け, 開心術後管理に極めて有用な手段と考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 深部体温較差, 心係数, 動静脈血酸素含量較差, 全末梢血管抵抗
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