アブストラクト(27巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 四肢軟部肉腫の肺転移による開胸術7症例の経験
Subtitle :
Authors : 沢田勤也, 福間誠吾, 関保雄, 石田逸郎
Authors(kana) :
Organization : 千葉県がんセンター病院呼吸器科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 2
Page : 155-160
Year/Month : 1979 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 四肢軟部組織に発生する肉腫は, 骨肉腫とならんで肺転移発生率の高い腫瘍である. 本腫瘍の予後を改善するためには, 肺転移の発見と診断, 開胸術による切除療法は大きな期待をもたせるものがある. われわれは, 過去5年間に四肢軟部肉腫の肺転移により開胸術を施行した7症例を経験したので, これらの症例を紹介しつつ臨床上の諸問題を考察した. 原発巣の病理組織学的診断は, Rhabdomyosarcoma 2例, Hemoangioendothelioma 1例. Hemoangio-pericytoma 1例, Kaposi,s sarcoma 1例, Synovial sarcoma 1例, Fibrosarcoma 1例である. 肺転移巣の発見には, 末梢領域での断層撮影が有効である. 転移巣は全例, 結節性陰影で, 一側単発性4例, 一側多発性2例, 両側多発性1例である. 腫瘍倍加時間(Doubling Time)は未検の1例を除く6例で15日から130日, 平均45日であった. 原発巣の初発から肺転移発見までの期間は5ヵ月から11年7ヵ月におよび, 原発巣の治療から開胸術までの期間は5ヵ月から7年に及んでいる. 呼吸器症状は喀血の1例を除く6例が無症状であった. 67Ga-citrate scanningは肺転移巣には微力であるが, 経胸壁穿刺細胞は有効であると考えている. 開胸術を術式別にみると部分切除術4例, 肺葉切除術3例となっている. 葉切例での葉間リンパ節転移は認められなかった. 昭和53年5月現在, 原発巣治療後の予後をみるに, 生存例は4例で7ヵ月から7年9ヵ月にわたっている. 死亡例は3例で, うち2例は剖検を施行したが, いずれも原発巣は治癒か広範な壊死巣を形成しているにもかかわらず, 両側肺には死因に連る高度の転移巣と胸膜炎がみられた. 7症例のうち腫瘍倍加時間(Doubling Time)が長く長期生存のえられた症例2と腫瘍倍加時間(Doubling Time)が短く, 開胸術後, 短時日で死亡した症例6を供覧した. 開胸術後の予後には腫瘍の生物学的悪性度が大きく関与していることが考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 四肢軟部肉腫, 肺転移, 開胸術
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