アブストラクト(27巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心房中隔欠損症(二次口)術後遠隔期における問題点
Subtitle :
Authors : 柿原理一郎, 土岡弘通, 阿部稔雄, 清水健, 石原智嘉, 村瀬允也, 田中稔, 彦坂博, 吉岡研二, 宮田義弥, 大宮孝, 小林正治, 小林淳剛, 野垣英逸, 椙山直敏, 竹内栄二, 弥政洋太郎, 山口峻*, 灰谷馨*
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学第1外科, *三菱名古屋病院心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 3
Page : 241-248
Year/Month : 1979 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 術後12ヵ月以上経過観察しえた二次口ASD 63例について, その術後遠隔期での問題点を臨床面より検討した. 年齢は2歳から52歳, 術後観察期間は12ヵ月から60ヵ月である. これらの症例について, 1)術後CTRの変化, 2)術後心電図SV1+RV5(6)の変化, 3)R or R’ in V1の変化, 4)術後遠隔時の不整脈の4項目について検討した. 約半数の症例で術後遠隔時にもCTRは正常とはならなかった. この現象は高齢者のみならず小児例にも認められた. 小児例で, 術前CTRが比較的小さいにもかかわらず左右短絡量が多い症例では, 術後心電図上左室成分の増加を示し, 同時にCTRの縮小は不良であった. 肺高血圧症を伴う症例は, 高齢者はもちろんであるが, 小児例でも術後のCTRの改善は悪く, 術後心電図上右室負荷の改善も不良であった. 肺高血圧症を伴う症例は, 小児例では無症状のことが多いが, 良好な術後経過を得るためには, より早期に手術すべきと考えられた. 高齢者の術後経過は, 根治性という点から見ればCTR, 心電図の改善は悪く不満足なものであったが, 不整脈の治療, 心不全の治療, 自然歴の改善という点からは満足できるものであった1). 術後遠隔時に不整脈を認めた症例は, 術前の約半数であり, 術後新たに不整脈を生じた症例は全体の4.8%に過ぎなかったが, これら術後遠隔時に不整脈を認めた症例では術後のCTRの改善はまったく認められなかった. 以上, ほぼ完成されたと考えられているASD根治術も真の意味の“根治”という点から見れば, まだ種々の解決されなければならない問題を含んでいることを明らかにした.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 二次口心房中隔欠損症, 術後CTR, 術後左室負荷, 心筋変化
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