アブストラクト(27巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 実時間処理の周波数分析による人工弁機能診断 第I編 臨床的検討
Subtitle :
Authors : 佐藤尚, 香川謙, 仁田新一, 堀内藤吾, 田中元直
Authors(kana) :
Organization : 東北大学胸部外科, *東北大学抗酸菌研究所内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 3
Page : 263-273
Year/Month : 1979 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 実時間処理の可能な心音周波数分析装置により人工弁置換術後症例に対する周波数分析を行った. 血栓弁, 脳栓塞症など合併症例および非合併症例の弁音周波数スペクトル上の特性を明らかとし, 本法による異常弁の診断基準を設定し, さらに人工弁機能不全の早期診断能を検討した. 分析対象はMVR 80例, AVR 45例およびTVR 2例, 計127例で, 以上の症例に対して計223回の分析を行った. 使用した分析装置は30個のバンドパスフィルターおよび記憶装置を内臓するもので, 任意の時点での周波数スペクトル像が描出される. 人工弁音の高周波成分の量を表わす指標としてスペクトル中最大音圧を36dbで正規化した場合, その-30dbレベルでの最高周波数normalized maximal frequency(NMF値)を使用した. 分析により以下の結果が得られた. (1)非合併群の人工弁音NMF値は数年の時間経過によっても経年変化を受けず, 心房細動下における心拍毎の心拍出量の変化あるいは左右心室内圧の相異など, 血行動態因子の影響も受けない. 弁機種毎のNMF値の分布はほぼ正規分布をとり, 非合併症例は概ね. 平均値-2×標準偏差によって設定された正常下限値以下の値を示す. (2)Intermittent stuck ball症例を除く4例の血栓弁症例では全例が正常下限値以下のNMF値を示し, 非合併群からの鑑別が可能であった. 7例の脳栓塞症例中4例では正常下限値以下の値を示していたが, 3例では正常範囲内であった. 以上の結果から各弁機種群の正常下限値以下のNMF値が得られた場合, および健常時の分析値と比較して600Hz以上の減少が認められた場合を, 本法による機能不全弁の判定規準としてよいと判断された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 人工弁, 人工弁音, 周波数分析, 非観血的弁機能診断, 血栓弁
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