アブストラクト(27巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 虚血性心疾患に対するAorta-Coronaryバイパス術の心機能に及ぼす影響
Subtitle :
Authors : 藤原巍, 山根正隆, 元広勝美, 高原郁夫, 佐藤方紀, 衣笠陽一, 木曽昭光, 正木久男, 勝村達喜
Authors(kana) :
Organization : 川崎医科大学胸部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 3
Page : 316-321
Year/Month : 1979 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Aorta-Coronaryバイパス術を行った24例の虚血性心疾患について, 手術の心機能に及ぼす影響を経時的に心機図, インピーダンス心拍出量計を用いて測定した. 他の開心術と比べて虚血性心疾患の術後心機能の低下は著しく, ET/PEP, 心系数ともに術後2時間で最低を示し, その後徐々に回復する. 虚血性心疾患を心筋硬塞既往の有無により分け, 心機能の変化を比較した. 硬塞既往群では術後2時間のET/PEPは1.33±0.06(X±SD)と非硬塞群の1.77±0.06と比べて心機能の低下はつよく, 3週間後においても非硬塞群の2.56±0.16に対して2.15±0.37と心機能の回復は遅れていた. 心系数は非硬塞群の2時間値2.9±0.41/min/m2に対して硬塞群1.7±0.11/min/m2とlow outputの状態にあり, 3週間後においても両群の間にあきらかな差がみられ, 心筋硬塞の既往を有する例ではたとえ術前の心機能が正常であっても心筋の予備力は減少しており, A-Cバイパス術が心機能に及ぼす影響は大きいことを示している. 左室造影による術前後のEjection Fractionの変化は, 非硬塞群では良好な改善がみられたが, 左室瘤切除例を除いた心筋硬塞既往例ではA-CバイパスによってもEjection Fractionの改善はみられなかった. A-Cバイパス術の術後管理上, 術後2時間が心機能が最も低下する重要な時期であり, とくに心筋硬塞の既往を有する例では術後のlow cardiac output syndromeの発生を未然に防ぐために, たとえvital signが良好に保たれていても, この時点での心機能を評価し, 積極的にその改善をはかるべく何らかの処置を行うことが必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心筋硬塞後狭心症, A-Cバイパス術, 術後心機能, 術後管理
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