アブストラクト(27巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 脈波による開心術後早期における心機能の評価
Subtitle :
Authors : 中林正人, 山崎順彦, 伊東経雄, 金田正徳*, 草川実*
Authors(kana) :
Organization : 三重県立総合塩浜病院胸部外科, *三重大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 3
Page : 335-340
Year/Month : 1979 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後早期の心機能は変動し易いことからとくに重篤な症例においては患者管理のうえで心機能を適確に早く評価する必要がある. この観点から末梢動脈をモニター化し, これにより得られる情報について圧波形とその時相の分析を行い, さらに色素希釈法により求めた拍出係数と比較検討した. 体外循環下に開心術の行われた95症例を対象とし, 末梢動脈は橈骨動脈を原則的に用いた. 開心術後の圧波形は後隆波, 拡張波, 重複波, プラトー波の4形に大別可能であった. このおのおのの圧波形から1/Tc2とETCを求め比較検討すると1/Tc2は後隆波23.7, 拡張波が21.6, 重複波が17.5でプラトー波は11.7と漸次低下を示した. ETCでは後隆波, 拡張波, 重複波は288~295m secにあって大差なく, プラトー波のみ278m secと有意に低値であった. 拍出係数では後隆波が30.5ml/beat/m2, 拡張波が25.4ml/beat/m2, 重複波が21.3ml/beat/m2と漸次低値を示した. この結果をより詳細に検討すると1/Tc2が20以上でETCが300m sec以上の後隆波や拡張波では概ね30ml/beat/m2以上の拍出係数を示し良好であった. しかし1/Tc2が20以下でETCが300m sec以下の後隆波や拡張波の拍出係数は24ml/beat/m2付近にあってやや不良であることから注意深い患者管理を必要とした. 1/Tc2が20以下でETCが300m sec以下の重複波やプラトー波では心機能は極めて悪化しており, 積極的な濃厚治療が必要であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 末梢動脈波, 左室駆出係数, 左室駆出時間, 拍出係数, 低心拍出症候群
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