アブストラクト(27巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Wolff-Parkinson-White症候群の外科的治療の研究-とくに副刺激伝導路の部位に関する基礎的臨床的研究-
Subtitle : 特掲
Authors : 三崎拓郎, 岩喬
Authors(kana) :
Organization : 金沢大学医学部第1外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 6
Page : 887-901
Year/Month : 1979 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : WPW症候群の外科治療の成功の鍵となる副刺激伝導路の部位診断につき基礎的, 臨床的検討を行い以下の結果をえた. 20頭の成犬を用い電気的に融合波を作成した. この結果房室弁輪部の各刺激部位, 遅延時間によって特徴ある心表面興奮伝播図, 心電図がえられた. 刺激部位の差は, 心表面興奮伝播図では早期興奮部位, breakthrough, 興奮終了部位に反映した. 副刺激伝導路切断術を行った最近の20例を対象とし, 術中の心表面興奮伝播図, 直視下心内膜電位測定につき検討した, 心表面興奮伝播図では, 各副刺激伝導路の存在部位により特徴あるパタンを呈し, これらを分類することができた. 直視下心内膜電位測定法は, 心室中隔付近の副刺激伝導路, および逆行性のみに働く副刺激伝導の検出には必須のものであった. このうち2例において副刺激伝導路由来の電位の直接測定が可能であった. 術中検索および手術で確認された副刺激伝導路は, 心室中隔を含め, 両房室弁輪部に広く存在し, 4例では複数本存在した. これら臨床例において副刺激伝導路の術中の部位所見と, 術前検査所見とを比較検討した. 標準12誘導心電図のデルタ波の初期成分と副刺激伝導路部位とはよく相関した. 術後ペーシングワイヤーを利用し臨床的に融合波を作成した2例においても同様な所見がえられた. しかし胸部誘導のみでは情報が少ないなどの難点を有した, 心表面興奮伝播過程を反映する体表面電位分布図は, より確実な部位診断を可能とした. 心内心電図は, とくに逆行性の伝導路として働く副刺激伝導路の術前診断には不可欠なものであった. UCGで早期異常収縮運動を分析することにより, どちらの房室弁輪部に副刺激伝導路が存在するか鑑別可能であった. 以上の結果より術前, 術中に詳細に副刺激伝導路の部位を推定することが可能であり, 今後ますます手術成績の向上が期待される.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : WPW症候群, 副刺激伝導路切断術, 心表面興奮伝播図, 心内膜電位測定, 体表面電位分布図
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