アブストラクト(27巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 上室性頻拍に対する高周波誘導型心房ペースメーカーの治療-長期遠隔成績よりみた植え込み適応とその界限-
Subtitle :
Authors : 藤堂景茂, 兼古悟, 杉木健司, 小松作蔵, 藤原嗣允*, 鎌田幸一*
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学胸部外科, *道立釧路病院胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 6
Page : 910-919
Year/Month : 1979 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1970年2月から1978年5月までに上室性頻拍14例, WPW症候群5例の19例に対し高周波誘導型心房ペースメーカーを使用し, ほぼ満足すべき結果を得た. 本ペースメーカーは上室性頻拍ではechoが証明されたre-entry頻拍に対しては全例有効であり, 頻拍発作をくりかえし, 薬物治療に抵抗する症例に対しては頻拍発作を患者自身が安全かつ確実に終結させることが可能な点で有効な治療法である. WPW症候群に発生する頻拍発作に対してもre-entry機構により発生するものに対しては本ペースメーカーは有効であった. しかし, (1)ペースメーカーはあくまで対症療法であり根治的ではないこと, (2)心房細動性頻拍に対しては無効であること, (3)とくに副伝導路有効不応期が205msec以下の場合心室細動に移行する危険性が大きいことなどの理由からKent束切断手術が第1選択となろう. しかしなんらかの理由で開心術が不可能な場合, 本ペースメーカーによる治療は十分に補助的役割を果すものと考えられるが, この際も植え込み適応は副伝導路不応期が250~280msecより長い症例に限るべきである. 本ペースメーカーを植え込む方法には, (1)心筋電極を開胸下に固定する, (2)冠状静脈洞に心内膜電極を固定する, (3)J型電極を右心耳に固定する方法などがあるが, 本ペースメーカーの特質上, 電極が心房壁に確実に固定され誤まっても心室頻回ペーシングが起こらぬ方法を選ぶべきである. われわれの現在使用している経皮的右心房穿刺によるカテーテル電極固定法は心内膜電極を使用しかつ電極の固定が確実である点で推奨されるべき方法と考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 発作性上室性頻拍(PSVT), WPW症候群, 高周波誘導型心房ペースメーカー(RAPM), 副伝導路有効不応期(ERPap), 経皮的心房穿刺によるカテーテル電極固定法(IAEF法)
このページの一番上へ