Abstract : |
漏斗部心室中隔欠損症の手術症例73例に再検討を加えた結果を報告する. 中隔欠損のみのものをA群, 右冠尖突出を伴うものをB群, 大動脈弁閉鎖不全を伴うものをC群と分類した. 1970年末を境にその前後を比較するとA群はそれぞれ46%, 50%とほぼ不変であるが, B群は14%から40%に増加し, C群は40%から10%に減少した. これはB群が早期診断されるようになり, 大動脈弁閉鎖不全を発生する以前の段階で手術されることが多くなったことを示している. B群の診断には現段階では大動脈撮影および左室造影を行う以外には確実な方法はない. 欠損口の大きさをみるとB群, C群は中欠損に限られており, 大欠損では大動脈弁突出はみられない. このことは弁尖突出が弁支持性の欠如によるものではなく, 短絡血流のジェット渦流に起因するものであるという説を支持している. この弁尖突出は収縮早期の弁尖下面の短絡血流の引き込み効果によるものであるが, 大欠損では血流速度が遅くこの引き込み作用が少ないため弁尖突出がおこらぬものと考えられる. 手術成績は良好で, 1970年以降の34例には各群とも死亡率はみられない. 肺動脈切開法の採用により右脚ブロック発生が激減した. |