Abstract : |
心臓外科領域では, 術後, 機械的補助呼吸に依存することが多く, その呼吸管理は重要な位置を占めている. 肺の病態把握の面から検討すると, 肺コンプライアンスの測定が重要であり, これをpressure-volumeカーブからレスピレーターの作動中に正確, 確実に求める方法を研究し, この方法によりレスピレーターの条件すなわち, ピークフロー値および, volumeを変化させてもコンプライアンスは一定の値を示すことを証明した. 成人を対象とした開心術後2~3時間における肺コンプライアンスを疾患別ないし手術法により比較した結果, 直視下僧帽弁切開術施行例では, 0.050±0.004L/cmH2Oで, 僧帽弁の人工弁置換術施行例の0.039±0.007と比較して肺コンプライアンスは高い傾向にある. 一方, 単独大動脈弁置換術または, これに直視下僧帽弁交連切開術をともなった患者は, 僧帽弁人工弁置換術施行患者と比較して, 0.048±0.011と, より高いコンプライアンスを示すものが多かった. 呼吸管理上, Pressure-volumeカーブの観察中に遭遇したカーブの変化から, 呼吸モニターとしての有用性が認められた. すなわち, レスピレーターからの回路内の水分結露による振動波, suck, レスピレーターとのファイティングなどの観測が容易に行われることも本研究の第2の重要な点である. 以上2つの観点からpressure-volumeカーブについて報告した. |