アブストラクト(27巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 三尖弁閉鎖不全を伴う僧帽弁膜症の術後血行動態―三尖弁閉鎖不全の対策について―
Subtitle :
Authors : 小沢修一, 麻田栄
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 7
Page : 1039-1049
Year/Month : 1979 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和41年4月から昭和51年4月までの10年間に, 教室で手術が行われたTIを合併した僧帽弁膜症のうち, 33例(MVR+TI放置群12例, MVR+TAP群10例, MVR+TVR群11例)について, TIの合併がみられなかった単独MVR群11例を対照群として, 術前, 術後安静時および運動負荷時の血行動態(心カテーテル検査による, 右房圧, 右室拡張末期圧, 肺動脈圧, 肺動脈楔入圧, 肺小動脈抵抗, 心係数など)を比較検討し, 以下に述べる結論を得た. 1. TIが残存した群の術後安静時および運動負荷時の血行動態は, TIの合併がみられなかった単独MVR群に比し不良で, 術後遠隔期において改善がみられなかった. それ故TIは, ごく軽度のものであっても, また基礎疾患がMS, MIのいかんを問わず, これを放置すべきでなく, 積極的に外科的処置を加えるべきである. 2. TAPにより逆流の消失した群の血行動態は, 安静時および運動負荷時ともに, 単独MVR群同様極めて良好であった. しかし高度の肺高血圧症を伴う症例では, Kayの方法に準ずるTAPによっては必ずしも安定した成績が得られず, TIが残存することがあった. 3. TVRは, TIに対する最も確実な術式であり, MVR+TNR群の術後安静時の血行動態は, 単独MVR群との間に有意の差はほとんどみられず, 良好であった. しかしながら, 運動負荷時の血行動態は, 決して満足できるものではなく, 右房圧の著明な上昇が認められた. また右房平均圧-右室拡張末期圧較差は, 安静時には0~3mmHg, 平均1.4mmHgであったものが, 運動負荷時には, 2~6mmHg平均4mmHgに増大し, 機能的三尖弁口面積も, 安静時平均1.72cm2あったものが, 運動負荷時には平均1.20cm2となり, 運動時には, 機能的三尖狭窄の状態が出現することが推測された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 三尖弁閉鎖不全, 僧帽弁膜症, 三尖弁弁輪形成術
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