アブストラクト(27巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Impedance Cardiographyによる虚血性心疾患の左心機能に関する研究―A-C bypass手術の効果を中心として―
Subtitle :
Authors : 笹田明徳, 麻田栄
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科学講座
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 8
Page : 1091-1114
Year/Month : 1979 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 虚血性心疾患35例に対し, 生体にnon-invasiveな検査法であるImpedance Cardiographyを用いて, 安静時, 運動負荷時の血行動態を検索した. 運動負荷時のCIの変動は, 正常者では負荷に耐える時間も長く, CIは約2倍に増加し, そのまま定常状態に移行したのに対し, 虚血性心疾患々者では, 負荷後早期にCIが約2倍に増加したものの, 定常状態を維持することができず, 後半には, 明らかに減少する特徴的なパターンを示し, 負荷に耐える時間も短かかった. 冠動脈病変に対して行われた, A-C bypassの術前・術後の運動負荷時の血行動態を比較すると, graft開存例では, SI, CIの術後増加が著明で, 負荷に耐える時間も延長したが, 逆にgraft閉塞例では, SI, CIとも術前と大差なく, 負荷時間の延長も認められなかった. Impedance Cardiogramのdz/dt波形における異常波(D波, A波)は, 虚血性心疾患35例中, D波が7例, A波が3例, 両者が同時に3例において認められた. D波は, 多枝病変例か, 梗塞発作後1~3ヵ月の亜急性期のため心不全がまだ残存している症例か, cardiogenic shockに陥った死亡直前の症例のような, 左心機能の極めて悪い場合に出現した. A波も同様の症例でみられ, 左室圧波形でのatrial kick出現例で, これと同時期に認められたことより, 左室complianceの低下時に出現するものと考えられた. D波の発生機構を追求する目的で, 雑種成犬を用い, 石松子注入による冠動脈閉塞実験を行ったところ, 左室complianceの低下したものにD波の出現が認められた. 臨床例, 実験の結果から, D波, A波の出現は, 心不全状態, あるいは左室complianceの低下, またはこの両者の存在を示すものであることが推測された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Impedance Cardiography, 虚血性心疾患, 運動負荷, 左心機能, A-C bypass
このページの一番上へ