Abstract : |
昭和53年9月までに, 10歳以下乳幼児26症例にペースメーカー植込み術を施行した. 平均年齢4歳4カ月, 平均観察期間4年である. 26例中8例が死亡し, 生存率は植込み1年目80%, 2年目76%, 3年目64%で, 3年目以後の死亡症例はない. 生存18例の自覚症はNYHA機能分類でI度44%, II度44%, III度12%であり, 一般のペースメーカー植込み症例より重篤である. 26例中24例は心筋電極で, ペースメーカー本体は左側腹壁皮下とし, 特に合併症をみていない. 心筋電極は左第5肋間に小切開を加え, 左心室側壁に縫着固定している. 26例中1症例にペーシング開始後心不全が生じ, ペーシング部位を変更することで, 心不全症状が消失した. 他の1例では, R on Tにつぐ重症心室性不整脈がペーシング開始とともに消失した. 心臓手術後など, 心表面に癒着が著明な場合, ねじこみ式電極では電極先端が心筋内まで挿入されにくい例を経験した. 「はじめに」ペースメーカー植込み術の対象は主に成人以後の患者であるが, 近年, ペースメーカー本体の小型化, 合併症の激減などにより, 乳幼児, 小児にもひろく使用されるようになった. |