アブストラクト(27巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 虚血心に対する大動脈内バルーンパンピング法(IABP)の基礎的および臨床的研究
Subtitle :
Authors : 重盛隆一, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 9
Page : 1221-1234
Year/Month : 1979 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 急性心筋梗塞症や開心術後に発生する心原性ショックによる死亡率は高い. これに対して積極的治療法として機械的補助循環法の1つであるIABPが近年臨床的普及がさかんとなっている. 実験的に正常犬, 心筋梗塞犬, 心原性ショック犬に対してIABPを施行し, 動脈圧, 肺動脈楔入圧, 左房圧, 心拍出量を測定した. 臨床的に術中に心筋保護を目的としてIABPを施行した4例の血行動態を検討し, 心原性ショック8例にIABPを施行し, 血行動態を検討した, その結果, 実験においては, 心筋梗塞犬, 心原性ショック犬で, IABPにより心拍出量の増加, 左房圧の低下, 肺動脈楔入圧の低下が著明に認められた. 正常犬では, その変化は小さかった. IABPにより, 正常犬, 心筋梗塞犬では拡張期圧の上昇が認められたが, 冠血流量は正常犬では増加はなく, 心筋梗塞犬では69%の増加が認められた. 心原性ショック症例に対しIABPを施行した臨床例では, IABPより離脱できた群と離脱できなかった群とを比較すると, IABP施行により血行動態は一時的に改善がみられた. しかし施行20時間では両群の間に血行動態の差がみられ, 予後を推測できる. 体外循環離脱後, IABPを心筋保護を目的として施行した症例では, IABP中血行動態は改善し, 心筋保護に効果があると考えられる. IABPは, 心原性ショック, L.O.S.などの重症循環障害の血行動態を改善し, 機械的補助循環法として, すぐれた効果のあることを, 実験的および臨床的研究で認めた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 機械的補助循環法, 大動脈内バルーンパンピング法(IABP), 心原性ショック, 低拍出性症候群(L.O.S.), Diastolic Augmentation
このページの一番上へ