アブストラクト(27巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環における血小板機能および血小板の保護に関する研究
Subtitle :
Authors : 磯村勝美, 伊藤健次郎
Authors(kana) :
Organization : 千葉大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 9
Page : 1235-1249
Year/Month : 1979 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体外循環による血小板数の減少は注目されているが, その質的な面の検討は少ない. 本研究は, 主として血小板の機能的な因子について体外循環前後の変化を追求し, さらに血小板保護の目的で, 血小板凝集抑制剤を使用してその効果を検討し, 以下の結論を得た. 対象は開心術症例50例で, 体外循環前後および術後2週目まで, 血小板数, ADP凝集能, 粘着能, フィブリノーゲン, F.D.P.プロトロンビン時間を測定した. 内14例に手術前4日間, Ticlopidine(250mg/day)を経口投与し, また12例に体外循環直前にDipyridamole(1~2mg/kg)を静注投与した. 1)血小板数は体外循環直後より急激に低下し術後3日目まで低値を示した. また体外循環中の流血血小板の機能の低下を認め, 凝集能および粘着能も異常低値を示した. 2)フィブリノーゲンは体外循環中低値を示したが, 術後1日目で術前値を越え, その後高フィブリノーゲン血症の状態となった. 3)F.D.P.は術前では弁膜症の症例に異常高値を示すものがあったが, 術後は1~2週目までとくに弁置換症例に異常高値を示す症例が多かった. 4)Ticlopidine内服群およびDipyridamole静注群に有意の血小板減少の抑制を認めた. Ticlopidine群はその内服により血小板凝集能の有意の低下を認め, 術後も凝集能がやや低い傾向にあったが粘着能への影響は少なかった. Dipyridamole群では体外循環中の凝集能が比較的温存されたが, 術後の粘着能の低下を認めた. かかる薬物的コントロールは, 体外循環中の微少血栓の発生を予防し, 末梢循環, 臓器保護のためにも有効と思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環, 血小板凝集能, 粘着能, F.D.P., 血小板凝集抑制剤
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