アブストラクト(27巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後急性腎不全の発症に関する定量的解析 第3報 術前および術中の項目による開心術後の最高血漿 (血清) クレアチニン値の予測式と開心術後急性腎不全の発症の有無を判別する判別式
Subtitle :
Authors : 田中一彦, 藤田毅, 吉矢生人*, 島田康弘*, 山崎登自*, 公文啓二*, 川島康生**, 森透**, 内藤道夫***, 井上通敏***
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター集中治療部, *大阪大学集中治療部, **大阪大学医学部第1外科, ***大阪大学医学部第1内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 9
Page : 1285-1293
Year/Month : 1979 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後の最高血漿(血清)クレアチニン値の予測式と, 開心術後急性腎不全の発症の有無を判別する判別式を作製した. 症例は開心術後, 大阪大学医学部集中治療部に入室した15歳以上の成人例で, 資料のよくそろった76名を対象とした. これら76名のうち19名(25%)が開心術後急性腎不全に陥った. 腎機能検査の項目を中心とする群(腎機能因子群)・心機能検査の項目を中心とする群(心機能因子群)および人工心肺中の項目を中心とする群(人工心肺因子群)に分け, 各因子群において開心術後の最高血漿クレアチニン値との偏相関係数の高い変数を, 10変数ずつ説明変数として選択した. 次に年齢の変数を加え, 説明変数を11変数とし, 各因子群において重回帰分析を施行, 開心術後の最高血漿クレアチニン値の予測式を作製した. 各因子群の予測式の重相関係数(R)は, 腎機能因子群: R=0.52, 心機能因子群:R=0.57および人工心肺因子群: R=0.73であった. これら結果より, 開心術後の血漿クレアチニン値の上昇には人工心肺の影響が最も大きく, 術前の腎機能・心機能の影響は少ないと言える. 開心術後の血漿クレアチニン値の上昇には, 各因子群の要素が多変量的に作用しているため, 各因子群よりさらに3~4変数ずつ説明変数として選択, 計11変数にてより精度の高い予測式(R=0.89)を作製した. さらに11変数より7変数を選択, 判別分析を施行し, 開心術後急性腎下全の発症の有無を判別する判別式を作製した. この判別式の誤判別の確率は11.7%であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術後急性腎不全, 急性腎不全の予知, 血漿(血清)クレアチニン値, 重回帰分析, 判別分析
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