アブストラクト(27巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 分離体外循環使用による高令者上行弓部大動脈瘤の1手術治験例
Subtitle : 症例
Authors : 高野信篤, 塩入祐世, 本田正節*, 小林健二*, 石川真一郎**, 川田光三***, 勝本慶一郎***
Authors(kana) :
Organization : 国立東京第2病院心臓血管外科, *国立東京第2病院循環器科, **慈恵医大内科, ***慶応義塾大学外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 9
Page : 1326-1330
Year/Month : 1979 / 9
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 弓部大動脈瘤の手術は, 手術手技そのものゝ困難さに加え, 脳・心筋保護の補助手段を必要とするためにさらに複雑さを増す. われわれは最近68歳女性の梅毒性上行弓部大動瘤に対し, 分離体外循環と心局所冷却により同部の完全人工血管置換を行った. 送血は股動脈, 右腋窩動脈, 左頚動脈より行い, 大動脈の吻合完了と同時に冠血行を再開させ, 拍動下に弓部分枝の再建を行った. 術後, 脳神経合併症もなく順調に経過した. 本例はわが国における弓部全置換の成功例としては最高齢者と考えられた. 本症手術の補助手段として分離体外循環のほか, バイパスシャント法, 全身低体温法などがあるが, それらの方法の適応, 利欠点などについても考察を加えた. 「はじめに」近年胸部大動脈瘤の手術治療成績の向上は目覚しいものがある. しかし上行弓部に亘る大動脈瘤は症例も少なく, また手術手技および使用する補助手段も他部位のものに比べ複雑, 困難で, DeBakeyら1)による最初の成功例は1957年に報告されているものの, その後の成績はいまだ満足すべきものとは言い難い2). 補助手段としては分離体外循環1)3), 全身低体温4)5), 一時的バイパス法6)7)などによる中枢神経保護とともに種々の心筋保護が行われているが, いまだ脳, 心筋障害に起因する死亡も少なくない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 上行弓部大動脈瘤, 分離体外循環, 心局所冷却, アーチ型グラフト
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