Abstract : |
心筋梗塞症の合併症には左室瘤が最も多い. 教室では, 16例(心筋梗塞手術症例の41%)の手術経験をし, その内訳は左室瘤切除術4例, 左室瘤切除術+A-Cバイパス10例, 左室瘤切除術+心室中隔穿孔部閉鎖術1例, 左室瘤・心破裂部切除術+A-Cバイパス1例であった. 左宮瘤例の術前, 術後の左室機能(EF, LVEDP, CI)は各々有意に改善を認めているが, 左室壁部分収縮率では前壁にのみ有意に改善を認めた. 血行再建術を同時に行った群との術後の左室機能上での比較では, とくに有意差は認めなかった. 手術死亡3例, 遠隔期死亡2例(47病日突然死1例, 50病日肝炎1例)であったが, 死亡例を除く11例の平均36ヵ月の経過観察では, 3ヵ月以後の遠隔期の死亡例はない. 「はじめに」心筋梗塞症の合併症には, 左室瘤, 心室中隔穿孔, 僧帽弁逆流, 心破裂などがある. そのうち左室瘤が最も多く, 心筋梗塞症の約20~35%に合併するといわれている1)2). 左室瘤ではそのparadoxical movementのためにうっ血性心不全などに陥り易く, 容易に血行動態の悪化をみることが知られている3). |