アブストラクト(27巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 人工弁置換術前後の感染性心内膜炎症例の検討 その1 術前, 術中所見を中心に
Subtitle :
Authors : 坂下勲, 大谷信一, 寺島雅範, 江口昭治, 中村千春*
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第2外科, *山形大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 10
Page : 1384-1389
Year/Month : 1979 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 過去12年8ヵ月間の人工弁置換症例につき, 感染性心内膜炎の既往に加え術中弁所見および切除病理所見を検討し, 大動脈弁置換10例, 僧帽弁置換1例, 三尖弁置換1例, 大動脈弁・僧帽弁置換2例, 大動脈弁・三尖弁置換2例, 僧帽弁, 三尖弁置換1例が術前感染性心内膜炎を経過したとし, 対象とした. 従来の報告を参考とすると活動性心内膜炎と判断できたのは5例で, このうち大動脈弁置換1例が緊急手術を受けたに過ぎない. 切除弁に菌塊の認められた4例に術前後で積極的な抗生物質療法は行われなかったが, 1例が心筋硬塞で病院死したに過ぎなかった. 現病歴と手術時所見から活動性のあった5例のうち, 4例が術前後で積極的な抗生物質療法をうけ, 大動脈弁・三尖弁置換の1例が遠隔期に弁周囲逆流を発生して5年目再両弁置換を行った. 抗生物質療法が心内膜炎治療として行われなかった残り1例は, 7ヵ月後先天性大動脈弁下左室瘤の切除後縫着した人工布片が離解し, 心不全で死亡した. 非活動性の8例は術前後1例を除き積極的な抗生物質療法を受けなかった. この群で心不全によりそれぞれ1例が病院死, 遠隔死し, 手術創感染を伴う2例に弁周囲逆流を生じた. 他の1例は9年後感染性心内膜炎に罹患したが内科治療で治癒した. 人工弁置換までの平均経過期間は, 感染の活動性が現病歴や切除弁で認められた症例, 弁膜に穿孔のあった症例および弁膜に菌塊あるいは感染所見の顕著な症例で然らざる症例より明かに短縮した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 切除弁病理所見, 抗生物質療法, 手術までの期間, 転帰
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