Abstract : |
左右短絡性心疾患の外科治療の目的は, 単に短絡路の閉鎖のみにとどまらず, その後の肺循環動態, 心機能の正常化をも目的とされねばならない. さらにこのことは安静時のみならず, 運動負荷時においても追究されねばならないと考える. 著者らは術前肺高血圧, 高肺血管抵抗を有した心室中隔欠損症(VSD)9例, VSD+動脈管開存症2例, 大動脈中隔欠損症1例の計12例に術後平均6.4年の遠隔期に運動負荷を行い肺循環動態および心機能につき検討した. 術前, 肺体血管抵抗比(Rp/Rs)が0.15以上0.50未満のC群5例においては, 手術時年齢は20歳未満であり, 安静時運動負荷時ともに肺循環動態は正常反応を示し, 心拍出量も良好な増加を得, その時の心機能も満足すべき値であった. 0.50≦Rp/RsのD, E群7例においては, 手術時年齢20歳未満の4例では, 安静時正常の肺循環動態を示したが, 運動負荷にて有意に肺動脈圧, 肺血管抵抗の上昇を認めた. 手術時年齢20歳以上の3例においては, 安静時からなお肺高血圧, 高肺血管抵抗を示し, 運動負荷にてともに上昇した. 運動負荷による心拍出量の増加はC群より少なく, これは左室機能は良好なので, むしろ肺高血圧に抗し, 右室機能が十分でないことが原因と考えられた. |