| Authors ： |
大橋博和, 宮本巍, 清水幸宏, 小澤正澄, 末広茂文, 三輪智久, 山下克彦, 小川信行, 岡本英三 |
| Abstract ： |
総肺静脈還流異常症の予後は一般に不良で成人年齢にまで達するものは稀であり, 本邦では本症例を含めて8例の成人の手術報告を認めるにすぎない. われわれは本邦では最高年齢と思われる37歳男子のDarling Ia型の症例に対し, Gersony氏手術を施行して良好なる結果を得た. 本症例においては, 肺静脈血の還流障害は認められず, 肺高血圧症も軽度で, 心房間交通も十分に大きかったために, かかる高年齢まで比較的無症状なままに生存しえたものと考えられる. 「緒言」総肺静脈還流異常症の予後は一般的に不良であり, 成人年齢にまで達するものはきわめてまれである. われわれは37歳男子のDarling Ia型1)の総肺静脈還流異常症の1例に対し, 根治手術を施行して良好なる結果をえた. 本邦における最高年齢の手術施行例と考えられるので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 「症例」症例：N.F., 37歳, 男子, 医師 家族歴, 既往歴はともに特記すべき事項を認めない. 幼少時より心疾患を指摘されており幼稚園入園時までは感冒に罹患しやすかったが, 以後は発育, 運動能力ともに正常に経過していた. |
