アブストラクト(27巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁置換に用いられたPorcine Heterograftの術後遠隔期における弁機能について
Subtitle :
Authors : 中埜粛, 森透, 北村惣一郎, 広瀬一, 横田博雅, 大山朝賢, 井原勝彦, 河内寛治, 島崎靖久, 村田弘隆, 奥田彰洋, 八木原俊克, 榊原哲夫, 佐藤重夫, 酒井敬, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 11
Page : 1516-1523
Year/Month : 1979 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : glutaraldehyde-preserved porcine heterograftによる僧帽弁置換症例について, 術後遠隔期に安静時および運動負荷時の血行動態を検索し, その弁機能の臨床的評価を行うことを目的とした. 対象は#29Hancock弁置換例2例, #31Hancock弁置換例3例およびCarpentier-Edwards弁置換例1例の計6例である. 年齢は22~49歳, 平均30歳. 手術より遠隔カテーテル検査までの期間は3~28ヵ月, 平均12ヵ月であった. 術後臨床症状は, 全例改善を示し, NYHA分類I度であった. 肺動脈収縮期圧は術後安静時平均37.0mmHg(24~48mmHg)で, 運動負荷時には60.0mmHg(48~96mmHg)まで上昇を認めた. Cardiac indexは安静時2.67l/min/m2(2.29~2.96l/min/m2)から運動負荷 時3.89l/min/m2(2.76~4.90l/min/m2)まで増加を示した. 左房平均圧は, 安静時では12.5mmHg(5~20mmHg)であるが, 運動負荷時には24.3mmHg(9~40mmHg)まで上昇を認め, LAm-LVEDPは安静時平均4.1mmHg(0~10mmHg)で, 運動負荷時には10.5mmHg(0~20mmHg)まで上昇した. mean diastolic gradientについては, 安静時平均値は7.1mmHg(3~13.2mmHg)であったが, 運動負荷時には18.0mmHgまで上昇を示し, かつその個々の値は5.5mmHgから32mmHgまで広い分布を認め, 一定した成績は得られなかった. 有効弁口面積は安静時平均1.90cm2(1.43~2.40cm2)で, 運動負荷時ではやや小さく1.80cm2(1.04~3.05cm2)であった, 本弁の弁機能は, 従来の人工弁のそれに比してとくに優れているとは云い難く, また, 一定した成績が得られないことも問題とされるべきであり, 今後とも症例を重ね検討していく必要があると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁置換術, porcine heterograft, 弁機能, mean diastolic gradient, 有効弁口面積
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