アブストラクト(27巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ペースメーカー合併症に対するパルス波形分析法に関する研究
Subtitle :
Authors : 灰田公彦, 庄司佑
Authors(kana) :
Organization : 日本医科大学第3外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 11
Page : 1552-1563
Year/Month : 1979 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1967年以来, 180例, 262個のペースメーカー植込みを行い, 67回合併症をみた. そのうち突然のペーシング不全の原因となる閾値上昇, フローティング, 断線, 早期消耗は34回みられた. 術後経過観察に心電図, X線撮影に加えて全例にオシロスコープによる刺激波形を記録し分析を行い上記合併症の予知, 診断, その対策に利用したのでのべる. 1. 12症例に13回の閾値上昇を認めた. 1例をのぞき, パルス波形に変化はなく全例ペーシング不全を呈した. X線撮影で異常なく閾値上昇と診断した. 2. 7例に11回のフローティイングをみた. パルス波形は2例に変化なく, 2例では平均11.4%の波高の低下, 6例に平均28%の上昇をみた.さらに心拍ごとの波形の変化, 基線の乱れなどがあり, 全例X線撮影にて電極尖の移動を確認し, フローティングと診断した. 3. 7例に8回の断線をみた. 平均37%のパルス波高の低下をみた, 完全断線の場合は, 刺激波形は出ないが多くは不完全断線で, 折損部位の抵抗値上昇により, パルス波形は低下し, X線撮影により断線を確認し鑑別できた. 4. 3例に早期消耗をみた. パルス波形の変化は, 自然消耗と同じように, 電源電圧の低下により波高全体が低下する. さらに機種により, 幅の変化をみる. 著者は自然消耗による電池交換を46例経験した. そのうち, 刺激波形分析によりペーシング不全をみることなく交換しえたのは42例であり, 本法が有効だったのは91%であった. 以上, ペースメーカー植込み後の術後管理. とくに不測の事故による合併症の対策に定期的な心電図, X線撮影による検査が一般的であるがこれらの方法によれば, すでに発生した合併症を確認できるが, トラブルを予知することは難しい. ペースメーカーの刺激波形を分折することが合併症の予知と診断, さらにその対策にきわめて有効である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : パルス波形分析, 閾値上昇, フローティング, 断線, 早期消耗
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