アブストラクト(27巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左室性単心室の臨床診断と外科治療に関する研究
Subtitle :
Authors : 夏秋正文, 和田寿郎
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 11
Page : 1579-1598
Year/Month : 1979 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 左室性単心室は, 心室ループおよび心室大血管関係により3つのグループに分類出来た. すなわちGroup I;d-loop, 正常心室大血管関係, Group II:d-loop, d型大血管転換,Group III:l-loop, l型大血管転換の3者である. おのおののグループについて臨床診断および外科治療の問題を検討した. 心電図上では, Group I, IIでは左軸偏位, 高度の左室肥大, 右室低形成パターンを示し, 右房負荷を伴った例では三尖弁閉鎖症との鑑別が必要であった, ベクトル心電図では, 水平面で反時計回転を示し, 主ベクトルは後左方にあり左室優位の所見を示した. 一方Group IIIでは, 心電図上右軸偏位, “右室肥大”, 右房負荷所見, II, III, aVF及び右側胸部誘導におけるq波, 房室ブロックなどが特徴的で, 修正大血管転換症との鑑別が必要であった. ベクトル心電図では, 前額面で時計回転を示し右下方に主ベクトルがある点が, 共通した所見であった. 心血管造影所見では, 各グループとも主心室造影上, 左心室の肉柱構造および形態を示す主心室と, 比較的荒い肉柱構造の流出路腔が認められた. 流出路腔は, d-loop(Group I, II)では側面像, l-loop(Group III)では正面像において認めやすく, 中隔の傾きが異なるためと考えられた. カテーテル検査では, Group I, IIIでは肺静脈血が体動脈へ流れやすく, Group IIに比べ比較的高い動脈血PO2を示した. 以上のように, 左室性単心室について形態解剖を診断学的見地から検討した結果, 左室性単心室では各々のGroupにおいて診断学上特徴的な所見があり, それに従って形態解剖を理解し, 外科手術術式が決定されるべきであり, その考え方について考察し報告した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 左室性単心室, 主心室, 流出路腔, 想像線
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