アブストラクト(27巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左心房粘液腫の8例
Subtitle : 症例
Authors : 末永英文, 古賀道弘, 大石喜六, 小須賀健一, 畑島陽, 小野辰也, 星野芳弘, 今村博仁, 山元博, 戸嶋裕徳*, 谷村晃**, 礎村正**
Authors(kana) :
Organization : 久留米大学医学部第2外科, *久留米大学医学部第3内科, **久留米大学医学部病理学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 11
Page : 1611-1618
Year/Month : 1979 / 11
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 男性3例, 女性5例, 計8例の左心房粘液腫を経験し, 術前診断, 手術法の要点を述べ性別, 診断, 発生部位, 手術法等を文献的に考察した. 症例は全例γグロブリン値が高く3例に塞栓の既往があった. 心血管造影検査で7例に腫瘍による陰影欠損が見られ, 7症例に超音波検査を施行し全例異常エコー像が見られた. 手術は全例胸骨正中切開にて心に達し体外循環下で直ちに大動脈を遮断し塞栓を防止した. 2例は左房切開, 他は両心房切開にて心腔内を検索し全例粘液腫とその茎基部を含む充分な中隔切除を行った. 中隔の欠損部は直接又はパッチによる縫合閉鎖をした. また1症例は腫瘍により僧帽弁前尖中央部の腱索断裂があり再建不能であったため人工弁置換を行った. しかし術後67日目敗血症にて死亡した. 摘出腫瘍は20gより210g迄あり, 球状と分葉状とに大別され, 弾性軟でゼラチン様を呈し, 2例に石灰化が見られた. 1例を除き7例は茎を有し, 全例心房中隔の卵円窩の近くより発生していた. 組織学的に心房中隔筋層への腫瘍細胞の浸潤は見られず, また死亡例での剖検による中隔の詳細な検索にても腫瘍細胞の中隔筋層への浸潤は見られなかった. この粘液腫は組織学的には一応良性であると言われているが, 臨床的に失神発作, 多発性再発性塞栓, 腫瘍の増大による僧帽弁口の閉塞による突然死等の悪性像を呈すため早期診断, 早期手術が心要で, また再発例がある事から心腔内の充分な検索, 切除範囲等充分な考慮が必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 左心房粘液腫, 左心房粘液腫の発生, 超音波診断法, 切除範囲
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