アブストラクト(27巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺動静脈瘻の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 豊増弘幸, 小須賀健一, 桑原義明, 押領司篤茂, 山本英正, 大石喜六, 古賀道弘, 宇津典彦*
Authors(kana) :
Organization : 久留米大学医学部第2外科, *久留米大学医学部循環器病研究所
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 11
Page : 1619-1624
Year/Month : 1979 / 11
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺動静脈瘻は, 欧米ではすでに数多くの報告があるが, 本邦では60余例と未だ比較的稀れな疾患である. 患者は, 24歳の男性で8歳頃より口唇と手足のチアノーゼに気づいており, 全身倦怠感とチアノーゼの増強を来たし, 精査の結果, 左肺下葉に主病巣を有する多発性肺動静脈瘻の診断を受けた. 本症例は, 多血症が高度であり, PaO2も50mmHgと低下しておりdigital clubbingが著明であったためチアノーゼ性心疾患が疑われた. 本症の診断にはチアノーゼ, 赤血球増多, バチ状指趾がTriadとしてあげられており, 胸写における異常陰影を指摘されて本症を疑われることが多い.診断の決定には肺動脈主幹部よりの血管造影が必要であり病変の部位と範囲を明らかにする. 治療は, 本症が常に進行性病変であり, 破裂により胸腔内出血や右-左短絡によっておこる多血症が塞栓などの合併症を来たすため, 外科的治療が必要である. 本症例は, 動静脈瘻がかなり大きく, 流出, 流入血管が非常に菲薄で脆弱であったため, 区域切除を行った. 手術法としては, 健康肺を出来るだけ温存するような術式を撰択すべきである. 予後の面より, 手術切除後に残った潜在性のものが, 再発, 再燃として急速に増悪していくことも報告されており, 術後も長期に渡る経過観察が心要である. 近年, 超音波検査法の普及により, コントラストエコー法が心疾患に対する右-左短絡の診断に大いに役立っている. 本症も心外性であるが, 右-左短絡であるため, コントラスト心エコー図は, 早期診断の手掛りとして, また術後のfollow upとして非常に有用な検査法である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺動静脈瘻, 右-左短絡, チアノーゼ, 赤血球増多, コントラストエコー
このページの一番上へ