アブストラクト(27巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓手術後急性期の血行動態および左心機能の研究
Subtitle : 特掲
Authors : 宇津見和郎, 伊藤健次郎
Authors(kana) :
Organization : 千葉大学第1外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 12
Page : 1691-1701
Year/Month : 1979 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心臓手術後急性期の血行動能および, 左心機能の研究により, 種々の心疾患および, 合併症の病態を明らかにし, 術後管理の向上を計ることを目的とした. 対象は先天性および, 後天性心疾患50例で, 心内操作終了時, 左心房内に, 手術終了時, 肺動脈内にSwan-Ganzカテーテルを留置し, 左心房平均圧(mLAP), 肺動脈圧, 心拍出量を術直後より術後72時間まで経時的に計722回測定した. これらの測定値より心係数(CI), 左室1回仕事量係数(LVSWI), 肺血管抵抗係数(PVRI)を算出し, 血行動態的検索を行った. 左心機能は容量負荷により得られたStarling-Sarnoff左室機能曲線または, mLAPとLVSWIをプロットした左心機能図より検討した. 以上の研究より次の結論を得た. (1)肺高血圧症を伴う僧帽弁膜症の肺血管抵抗は術後急性期においては低下せず, 依然, 高値を維持する. この肺血管抵抗の残存は心内各圧の相関および, 心拍出量へ影響をおよぼし, 肺動脈平均圧-左心房平均圧較差が24mmHg以上では, 圧較差の増大は心拍出量の減少を招く. (2)術後急性期においては容量負荷による左室機能曲線の描記により左心機能の把握が可能である. (3)術後合併症の無い症例では左心機能は術直後よりすみやかな回復が見られるが, 心筋梗塞合併例では左心機能は逆に低下の経過をとる. (4)mLAP 16mmHg以上, LVSWI 20g-m/beat/m2以下の左心不全は予後不良で, 大動脈内バルーンパンピング(IABP)などのcirculatory assistの適応である. (5)左心房, 肺動脈内留置カテーテルによる術後の血行動態および, 左心機能の把握は術後管理および, 合併症の早期発見, 治療にきわめて有用である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺血管抵抗, 左室機能曲線, 大動脈内バルーンパンピング
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