アブストラクト(27巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 腹部および胸部大動脈瘤に対する非侵襲的診断法の検討
Subtitle :
Authors : 数井暉久, 岡本史之, 浅野勝士, 山田修, 横山秀雄, 山岸真理, 大野猛三, 兼古悟, 堀江信治, 杉本健司, 田中信行, 小松作蔵, 福田守道*, 湯川元資**, 高橋貞一郎**
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学胸部外科, *札幌医科大学癌研内科, **札幌医科大学放射線科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 12
Page : 1710-1718
Year/Month : 1979 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 超音波断層法, コンピュータ断層撮影法およびRIアンジオグラフィ法などの非侵襲的診断法を腹部および胸部大動脈瘤に応用しおのおのの診断上の有用性および限界についての検討を行った. 対象は腹部の拍動性腫瘤37例および胸部X線上で動脈瘤陰影を呈した23例の計60例である. 各症例に対して非侵襲的診断法を施行し, これらの所見を大動脈造影所見, 手術所見あるいは剖検所見と比較検討した. 超音波断層法, コンピュータ断層撮影法およびRIアンジオグラフィ法などの非侵襲的診断法は, 大動脈瘤に対する正診率が高いことからスクリーニング検査法としてきわめて有用である. また, 前2者は動脈瘤外径の測定値が手術時の実測値とよく一致することから大動脈瘤の経過観察の手段に適していると思われる. なお, 超音波断層法では, 動脈瘤の外径のほか, 壁在性血栓, 内径および解離所見などの識別が可能ではあるが, 含気性組織の影響をうけるため胸部大動脈瘤あるいは多量の腸管内ガスを有する腹部大動脈瘤症例ではその診断的価値は少なかった. 一方, コンピュータ断層撮影法は含気性組織の影響を受けないため胸部大動脈瘤の診断にも応用可能であるが, 動脈瘤の内腔の状態すなわち壁在性血栓の有無および解離所見の識別は困難であった. これらに対してはcontrast enhancementなどの工夫が必要であると思われる. またRIアンジオグラフィ法は, 大動脈造影法と類似の動脈瘤像を描写することは可能であるが, その解像力は大動脈造影法のそれと比較すると劣っていた. 以上のごとく, 非侵襲的診断法は動脈瘤に対する診断法として有用ではあるが, 動脈瘤の波及範囲の判定, 閉塞性動脈疾患の合併の有無, 解離所見, 解離の進展度合などの判定には診断的限界があり, 外科治療の立場から, 大動脈造影法と平行して使用されるべきであると考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 腹部および胸部大動脈瘤, 非侵襲的診断法, 超音波断層法, コンピュータ断層撮影法, RIアンジオグラフィ法
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