アブストラクト(27巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 右心室新設術の研究 右室形成不全症根治術としての評価
Subtitle :
Authors : 藤田邦雄, 寺本滋
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 27
Number : 12
Page : 1736-1745
Year/Month : 1979 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 三尖弁閉鎖症などの右心室の極度の低形成を伴う心疾患および単心室症の治療法としてFontan法などの右房-肺動脈間短絡術が近年次第に盛んになってきた. しかし右房の拍出力が充分ではないためこれらの術式の適応となるのはごく一部に過ぎず, 多くは姑息的方法にゆだねられている. この治療には十分な拍出力を有する右心室の新設が必要と考え心外膜上に右心室を造設することを試みた. 21頭の犬を用い, テフロンパッチを左室自由壁全面を被うように縫い付けて右心室を新設し, これと右房および肺動脈の間を同種弁付大動脈で連絡した. 固有右室から新右室への血流変換は肺動脈基部の遮断によった. 血行動態を測定し得たのは8例で新右室収縮期圧(平均26.5mmHg)は右房最大圧(平均23.7mmHg)をうわまわり, 新右室圧波形は心室圧波形に近かった. 肺動脈血流速波形は新右室圧および肺動脈圧波形とほぼ等しく, 新右室の仕事量(1.0g・m)は正となり拍出力を有することが判明した. 新右室収縮期圧および肺動脈血流量と左室収縮期圧との間には正の相関があり, 新右室機能に左室機能が大きな影響を与えていた. また新右室容積が固有右室容積との比で150%以上の過大なものは短時間で死亡し, 正常右室容積に近いものに長期間の生存が得られた. 本法の臨床応用にあたっては, 肺動脈の遮断は必要なく, 右室も低形成または存在しないため, 心前面に容易にパッチを縫着でき, 好成績を得ることが期待される.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 右室形成不全症, 三尖弁閉鎖症, 右心室新設術, 人工材料, 右心機能
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