アブストラクト(28巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 人工弁置換後遠隔期合併症―出血について その2 抜歯処置, 外科手術および術後感染性心内膜炎との関連
Subtitle :
Authors : 坂下勲, 大谷信一, 江口昭治, 鷲尾正彦*
Authors(kana) :
Organization : 新潟大学医学部第2外科, *山形大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 1
Page : 1-6
Year/Month : 1980 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 抗凝血療法施行中の症例が抜歯処置, 外科手術を受ける場合, 本療法の継続下では術中, 術後出血が問題となり, 出血を恐れて本療法を急速に中断すると血栓塞栓症の発生が懸念される. しかし, 既発表の関連論文では, 抗凝血療法を継続したままでも出血の危険が少なかったとの報告や中止により血栓塞栓症が発生したとの発表があり, さらに適切に抗凝血療法を調節して良成績を得たなどを, 必ずしも一定した意見はない. 抜歯処置をWarfarin単独4例, Warfain, Bucolome併用10例に行ったが, Warfarin単独ではWarfarinの減量, Bucolome併用ではBucolome中止で1週間待機し, TTOを40~50%に調節してから抜歯した. 後出血はWarfarin単独1例, Bucolome併用2例に発生したが, いずれも入院の要なく, 局所処置で止血しえた. 外科手術時にはTTOを80%程度に維持することと目標とし, 予定手術ではWarfarin単独では減量, Bucosome併用ではBucolome中止に加えWarfarinの減量が中止で調節した. 緊急症例は最小限TTOを基準に抗凝血剤を中止し, 必要に応じVit.K, 輸血, 新鮮凍結血漿, Konyneを併用してTTO 80%に調節し手術を行ったが, 12指腸穿孔による汎膜膜炎, 急性腸間膜動脈閉塞を含む全体症例5例で術中, 術後に出血は問題とならなかった. 人工弁置換後感染性心内膜炎の1例で, PCG 4,000万単位投与開始後3日目に意識を消失し, 死亡したがTTOは1%以下であった. PCGの大量投与は血小板凝集障害やフィブリノーゲン-フィブリン重合などとの関係で凝固能低下を生ずると考えられるが, 他症例の検討で個人差が大きく, かつ原因は複雑と推定される. さらに考察を続ける必要がある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 抜歯処置, 外科手術, 感染性心内膜炎, 人工弁置換
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