アブストラクト(28巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Porcine Xenograft Valveの臨床成績
Subtitle :
Authors : 平明, 西村基, 尼子春樹, 児玉治彦, 天辰健二, 松窪尉雄, 丸古臣苗, 屋良勲, 森下靖雄, 有川和宏, 村田和武, 田畑伝次郎, 浜田義臣, 豊平均, 山下正文, 湯田敏行, 秋田八年
Authors(kana) :
Organization : 鹿児島大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 1
Page : 7-12
Year/Month : 1980 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 術後最長3年,最短3カ月, 平均16.9ヵ月, 607 patient-monthsのPorcine Xenograft Valveの臨床成績を検討した. 症例は47例(男26例, 女21例, 17-57歳, 平均37.5歳)で1975年5月から1978年1月の間に52個のPorcine Xenograft Valve(Carpentier-Edwards 36個, Hancock 16個)を使用した. 弁別にみると大動脈弁が10個, 僧帽弁が42個で僧帽弁置換のみ29例, 僧帽弁置換および他弁形成術8例,大動脈弁置換のみ5例, 二弁置換5例であった. 術前12例がNYHA IV度で残りはIII度であった. 心房細動が全症例の77%にみられている. 病院死(術後1ヵ月以内の死亡で手術と密接なかかわり合いをもつもの)は8例(17%)で晩期死が4例(8.5%)であった. 病院死で最も多い死因は低心拍出症候群であった. 術後心肺係数は減少し, 臨床上の改善は顕著でNYHA分類で二段階以上の改善が63%にみられている. 悪化は1例で, 長期の三尖弁閉鎖不全, 肝不全を伴っていた.術後の血栓々塞症は抗凝固療法を行っていなかった初期の1例で軽症の脳栓塞を経験した. その後は原則として術後早期の抗凝固療法を行い栓塞症をみていない. 大動脈弁置換の術後には高頻度(70%)に雑音を聴取し, 大動脈弁としてのPorcine Xenograft Valveはサイズの選択に問題がのこる. しかし, 臨床的に雑音に呼応した障害はみられていない. 使用した弁の機能障害による事故, あるいは死亡例は1例も経験していない. ただ, 細菌性心内膜炎症例に救命的に僧帽弁置換を行った症例でCandida albicansによる人工弁心内膜炎をきたし, 剖検でXenograft leafletの穿孔とleaflet組織内へのFungusの侵入増殖がみられた. このことはFungus EndocarditisがPorcine Xenograft Valveにおこったとき再弁置換以外に治療の手段がないことをしめす. 観察の期間内でPorcine Xenograft Valveは弁自体に起因する重大な障害もなく臨床的に優れた成績をしめした.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Porcine Xenograft Valve, 大動脈弁置換, 僧帽弁置換, 二弁置換
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