Abstract : |
骨肉腫の治療法はInfusion法による制癌剤の局所動脈内注入法と, 放射線療法および全身的大量化学療法により局所再発および肺転移発生を抑制し, 延命効果をあげているが, 肺転移の出現した症例に対しては開胸術による転移巣切除がおもな治療法となる. したがって肺転移の早期診断, 治療が骨肉腫症例の延命に重要は意義をもつと思われるが, 現在迄の肺転移の診断方法としては胸部X線検査と全肺断層検査が施行されていた. 最近胸部CTスキャンにより微少肺転移巣の早期発見が可能であると報告されている. われわれは骨肉腫の肺転移早期発見の目的で, 胸部X線および全肺断層検査とCTスキャンを施行した症例を12例経験し, そのうち6例に対して8回の開胸術を施行, 開胸時所見を基にして, 胸部X線および全肺断層検査法とCTスキャンを比較検討した. 12症例中11例(91.7%)にCTスキャン像上, 肺転移が疑われ, 開胸術にて合計22個の肺転移巣を確認し切除した. 胸部X線像および全肺断層像で異常陰影を指摘され, 開胸術により肺転移巣と確認されたものは10個(45%)であり, CTスキャンで肺転移が疑われ, 開胸時所見で確認した転移巣は19個(86%)であった. 胸部X線像および全肺断層像では該当する陰影がなく, CTスキャンのみで肺転移が疑われ, 開胸術により確認された転移巣は9個(41%)でいずれも3~10mm径の大きさであった. またいずれの検査法でも発見しえず開胸術によりはじめて確認された転移巣は2個でいずれも2mm径以下であった. CTスキャンで肺転移を疑う結節を認めたが開胸所見で該当する部位に肺転移の認められなかったものは3個(14%)で, 2個は前回の切除術後の癜痕であり1個は胸壁の変形であった. 以上今回の経験よりCTスキャン後, 開胸術迄の期間や, 前回の手術後の癜痕との判別等の問題もあり, 今後症例を重ね, 胸部CTスキャンの解析に関して, より正確度を高め骨肉腫における肺転移の早期発見の方法として確立したいと思う. |