アブストラクト(28巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 札幌医大式IABP制御装置の開発と至適deflation time設定の基礎的研究
Subtitle :
Authors : 北野一郎, 小松作蔵
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 1
Page : 111-123
Year/Month : 1980 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心電図のR波trigger方式でdeflation time(以下DT)を設定すると自動的にinflation timeが決定される札幌医大式IABP(Intra-aortic balloon pumping)駆動制御装置を開発した. 本装置の制御能力と限界を判定評価するため, 最初にmocked回路を用いてin vitroの駆動実験を行い, つぎに不全心犬を作成しIABP使用時の左心室補助効果を各心拍数に対する駆動条件から検討し, DT別にみた至適DTの波定を試みた. 本装置の特色は, (1)R波trigger, (2)DTのみを設定, (3)skip回路と自動至適DT回路がくみこまれていることである. mocked回路を用いてIABP装置をin vitroで駆動実験し, つぎの結果をえた. (1) 心拍数50~170/min(以下minは省略), DT 100-380msecの条件下で制御装置のtiming設定機能は, 完全であった. (2) 心拍数が増加しDTが延長するにしたがってballoon内圧は, 直線的に低下傾向を示した. (3) (1)と同一条件下でballoon内圧を最高値の80%以上に維持し駆動させるためには, 心拍数130/ならびにDTが60%以下の範囲内の条件であることが必要であった. (4) また駆動中balloon内圧を最高値の70%以上に維持するためには, 心拍数140/ならびにDT 60%以下の駆動条件とすべきであった. (5) 心拍数が150/以上の場合は, DTは50%以下に設定されなければ, balloon内圧を最高値の70%以上に維持しえなかった. つぎに不全心犬(Inderal+LAD Ligation)を作成しIABP制御装置の評価に対する実験で, つぎの結果をえた. (1) 心拍数80~120/のときDTを30~50%に条件と設定しIABPを施行した場合, 陽性の左心室補助効果(判定基準は, 後述)をえた. とくに40%の群でIABPの効果は, 最大値となり, つぎに30%, 50%の順でその効果は, 減少する傾向を示した. (p<0.05-0.001)さらにDT 60%に設定した場合DT 30~50%の群に比較し, その左心室補助効果は, すべて有意差をもって劣性(p<0.05-0.001)を示した. (2) 心拍数120/以上の条件の設定でIABPを駆動した場合すべて陰性の左心補助効果を示した. (3) 本制御装置を使用し心拍数を120/以下における各心拍数の異った群でDTを変動させIABPを駆動させた結果DTが40%の場合に左心室補助効果が最大となることが示された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : IABP, R-Trigger, Deflation time, Diastolic augmentation, Systolic unloading
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