アブストラクト(28巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺動脈分枝狭窄症を合併した心房中隔欠損の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 田村栄稔, 小川邦泰, 跡部正明, 松本学, 平塚博男
Authors(kana) :
Organization : 国立大阪病院循環器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 1
Page : 124-130
Year/Month : 1980 / 1
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺動脈分枝狭窄症は, 先天性心疾患中比較的稀な疾患であり, それに対する手術の報告例も少ない. 本疾患の診断は, 前胸部で聴かれる収縮期雑音, 連続性雑音, さらに腋窩から背部にまできかれる収縮期性雑音にて疑われる. 連続性雑音の成因に関しては狭窄部前後における圧較差のほかに肺血管の形態学的変化も関与していると思われる. 心カテーテル検査, 肺動脈造影にて本疾患は確診される. とくに肺動脈圧は, 末梢性狭窄の程度を反映し重要である. 本症に対する外科治療は, 肺動脈狭窄部解除と合併心内奇型修復とに分けられる. 前者のよい適応となるのは, 肺動脈幹から, 左右主肺動脈にかけての狭窄である. われわれの症例は, 臨床的にチアノーゼと心不全症状があり, 心カテーテル検査にて肺高血圧, 心房中隔欠損, 末梢性肺動脈分技狭窄が考えられ, 中隔欠損閉鎖を行った. 末梢性狭窄例では手術不能であるが, 他に心内奇型が存在しそのため臨床症状が著しくなっている例には, 合併奇型の手術を行うことも考慮されるべきであろう. 問題は, 肺肺血管の閉塞性病変が患児の生長とともに進行するのか否かであると思われるが, 諸家の報告によると, 加齢に従っては進行しないと言われており, これは合併心奇型手術の妥当性の根拠となるだろう. われわれの例では, 術後チアノーゼ, 心不全の軽減を見, 約2年半の経過で肺動脈圧の漸次低下がみられたが, 依然高く今後の経過観察と心カテーテル検査を行っていく必要があろう.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺動脈分枝狭窄症, 肺高血圧, 合併奇型, 心カテーテル検査
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