Abstract : |
虚血性心疾患37例の冠動脈造影所見, 左室cineangiogramを分析して, 以下の結論をえた. 1)左室cineangiogramにより, 左室壁運動をA~F群の6群(A群:normokinetic synergy, B群:localized hypokinesis, C群:localized akinesis, D群:extended akinesis, E群:ventricular aneurysm, F群:generalized hypokinesis)に分類した. 左心機能はA群からF群へと順に低下し, 冠動脈病変もこの順で, 罹患冠動脈の数が多くなり, かつ, その病変も高度となっていることが判明した. 2)A-C bypassは左室のlocalized hypokinesis(左室壁3 segment以下)またはlocalized akinesis(左室内表面積の10%以下)をnormokinetic synergyに回復せしめ, 同時に, 左心機能parameterをも改善せしめうることを知った. とくに, 中枢部が閉塞していたLADの末梢においてgraftableなLADがあって, そこにbypass graftがおかれた場合には左心機能の改善が著明であった. 3)A-C bypass graftが術後に閉塞をきたした症例では, 左室壁運動および左心機能parameterの悪化が認められた. 4)A-C bypassはextended akinesis(左室内表面積の10%以上)の縮少はもたらさなかったが, 他の部位のcontractilityを増強し, よく左心機能を改善せしめうることを知った. 5)左室瘤切除術は, 左心機能の著明な改善をもたらした. 同時に施行されるA-C bypassは心筋の他の部位の収縮性を回復せしめ, 左心機能の改善に役立つことが確認された. 6)左室瘤では, 術前に, 瘤切除後の残余心の左心機能をかなり正確に予測することが可能で, 手術適応の判定にも有用であった. |