アブストラクト(28巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓ペーシングに関する研究:心臓ペースメーカーの不関電極の刺激電流閾値と心内R波波高におよぼす影響
Subtitle : 原著
Authors : 柳沢正敏, 和田寿郎
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学第1外科学教室, 日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 3
Page : 438-445
Year/Month : 1980 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 不関電極尖の部位や, 面積や距離が刺激電流閾値(以下, 閾値と云う)や, 心内R波波高に及ぼす影響を実験的に調べた. 平均体重12kgの雑種成犬12頭を用い, ステンレス製で長さ7mmで電極尖面積一定(10mm2)の電極を用い, 心房, 心室に基準となる所より, 5mm, 10mm, 20mmの間隔を置いて縫着し, さらに皮下にも1本縫着した. 電極縫着時を急性期とし, 閾値が安定するといわれる3週間後を慢性期とした. 閾値測定はメドトロニク5880Aで行い, 心内R波波高はメドトロニクTM 5300 Pacing System Analyzerで行った. 従来より, 心房の閾値は心室よりも高いといわれていたが, 本実験での急性期の心房筋, 心室筋の電流閾値は平均0.4mAでほぼ等しく, 慢性期にはどちらも約3.5倍の上昇をみた. 心房筋, 心室筋ともに, 電極間距離による閾値の変化は, 急性期, 慢性期でもみられなかった. また, 不関電極尖面積を10mm2から80mm2に増加させても閾値には変化はみられなかった. 従来, 単極刺激の閾値は双極刺激よりも高いといわれていたが, 本実験では差はみられなかった. 心房筋, 心室筋の電極間抵抗値は, それぞれ, 急性期では453±93Ωと476±95Ωであった. 慢性期では, それぞれ326±53Ωと332±51Ωであった. 慢性期には急性期より約120Ω減少し, 減少率は心房筋では28%で心室筋では30%で, ほぼ等しかった. 心内R波波高は, 急性期, 慢性期共に, 電極間距離が5mmの時に最低値を示し, 10mm以上でほぼ一定値を示した. そのため, デマンドペースメーカーで双極電極の場合では, 電極間距離は10mm以上必要である事が分った. また不関電極尖面積を10mm2から80mm2に増加させても心内R波波高の増加はみられなかった. 慢性期には, 急性期に比し, 約20%減少するため, 急性期のR波波高の約20%減をもって, デマンドペースメーカーが作動するか否か, 検討すべきである. また, 心内R波波高は, 刺激閾値に比し, バラツキが大きかった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 不関電極, 刺激電極, 電流閾値, 電圧閾値, 心内R波波高
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