アブストラクト(28巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁外科治療の立場からみたM-Mode僧帽弁エコー図の意義
Subtitle : 原著
Authors : 田中信行, 杉木健司, 山岸真理, 乳井誠悦, 兼古悟, 稲尾雅代, 大野猛三, 数井暉久, 北野一郎, 小松作蔵
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 6
Page : 924-932
Year/Month : 1980 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁狭窄症101例にM-modeエコー図検査を行い, 僧帽弁前尖後尖の分離可能の有無, 前尖最大振幅, 前尖の厚さの程度にしたがい僧帽弁エコー図の形態を3群(I, II, III)に分類した. I→II→III群へと至るにしたがって弁病変(弁の可動性の低下, 弁尖肥厚の程度)が高度となりその結果僧帽弁交連切開術可能の頻度が減少した(I群交連切開/弁置換:30/5, II群19/19, III群0/10). 僧帽弁狭窄症例の第一期手術症例のうち弁置換を要した理由はエコー図所見では前尖最大振幅の低下(p<0.05)であり, 第二期手術症例では前尖の著明な肥厚(p<0.05)のためであった. 僧帽弁狭窄症例の交連切開術前後におけるエコー図所見では前尖後尖間の最長距離(D)からえられる弁口面積3)(楕円形として=π/4×D×1.5×D)と同一症例のGorlin式8)よりえられる弁口面積の間に有意の相関を示した(術前値r=0.54, p<0.05, 術後値r=0.74, p<0.01). 僧帽弁口面積と術前の前尖後退速度(EF slope)との間に有意の相関(r=0.568, p<0.02)を示したが, 交連切開術後の症例では両者の数値に有意な相関をみとめなかった. Mitral valve closure index (MVCI)5)については術前後の数値とGorlin式の弁口面積との間に何ら有意の相関をみとめなかった. 僧帽弁狭窄病変を主とする症例に対する外科治療においては僧帽弁のM-modeエコー図法により弁の可動性, 肥厚の程度, 前後尖間の距離を検索することは術前に手術術式の選択を決定し, 術後交連切開術の効果判定を行ええる点において実際上きわめて有用な検査法である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁狭窄症, 僧帽弁M-modeエコー図, 僧帽弁前尖後尖間の最長距離, 僧帽弁口面積, 前尖最大振幅と前尖の肥厚
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