アブストラクト(28巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開胸術後の呼吸機能に関する研究(第1報)肺切除術後のV-V曲線とスパイログラムの変動について
Subtitle : 原著
Authors : 山崎史朗, 小川純一, 正津晃, 山内俊忠*
Authors(kana) :
Organization : 東海大学医学部第1外科, *東海大学医学部第2内科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 6
Page : 952-958
Year/Month : 1980 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ミニコンピューターを内蔵した新しい肺機能検査システムを用い, 肺切除術後の肺機能の推移を術後6ヵ月以上追跡した. 本論文においては, 近年末梢気道の病態を鋭敏に反映するといわれているV-V曲線の術後の推移を検討し, 同時に測定したスパイログラムの成績を合わせて考察した結果を報告した. V-V曲線の形状を示すための指標としてPeak Flow Rate, Peak Flow Time, V50, V25, V50/V25, N, S, Mean Time Constant 1~4, Mean Time Constant Rate, Mean Time Constant Averageを用い, 各指標について術後の推移をみた. スパイログラムからはFVC, 1秒量, 1秒率, MMF, MMEF0.2~1.2の推移をみた. Peak Flow Rateは術直後に術前の46±12%(mean±SD)にまで低下するが, 以後漸増し, 6ヵ月以後には術前の88±23%にまで回復した. V-V曲線の下降脚の形状を示す指標のうち, とくにMean Time Constant Average, N値は術後2~3週目より術前値に近く安定化し, 各症例のV-V曲線の形状の推移をみると, 術後早期から術前に各症例にみられた下降脚のパターンに戻っていることが観察された. このことは, 肺切除術後の比較的早期から各症例に特有な時定数(気道抵抗×肺コンプライアンス)をとり戻していることを示している. 末梢気道抵抗をよく反映するといわれているMMFが術後1週目に極端に低下した後にしだいに上昇傾向を示すことと考え合わせると, 術直後に著明に低下した肺コンプライアンスが術後比較的早期から上昇していることを意味するものと考えられた. FVC, 1秒量については従来の諸家の報告と同様な回復を示した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 術後肺機能, V-V曲線, スパイログラム, 肺切除術
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