アブストラクト(28巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 高張マニトール付加体外循環時の腎機能に関する研究
Subtitle : 原著
Authors : 得津修一, 桜井武雄, 西村治, 滝本幹之, 太田久雄, 山岡慶之, 児玉憲, 岡田一男, 鈴木淑男, 松岡純生, 横井秀樹, 阪中孝三, 榎本克己, 岡田浪速
Authors(kana) :
Organization : 和歌山県立医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 6
Page : 978-989
Year/Month : 1980 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体外循環下開心術後の腎不全発生を防止する一手段として, 高張マニトール(Mn)を用いてその効果ならびに腎に及ぼす影響を実験的に検討した. 雑種成犬を用いた. 高張Mnの人工心肺への充填および体外循環中の添加量により, 実験犬を次の4群に分けた. I群, Mnの臨床の2倍量使用群. II群, 臨床量使用群. III群, Mn無使用群. IV群, フロセミド使用群. 潅流中の平均動脈圧を80mmHg前後に維持し, 2時間にわたる潅流中およびその後さらに2時間にわたって, 尿量, Ht, 電解質, GFR, RPF, RBF, 浸透圧およびそのクリアランス, Mnおよびそのクリアランスを検討した. また131I馬尿酸ナトリウムを用いたレノグラムによる検索および墨汁粒子の糸球体への取込みの検索もあわせて行った. I, II群では潅流開始とともに血清Mnは増加し, 血漿浸透圧は上昇し, 浸透圧性利用により尿量の増加が認められた. GFRは各群とも潅流前にくらべて著明に減少し, 各群間の差はなかったが, RPF, RBFではIII, IV群にくらべて, I, II群のそれの減少の程度は軽度(p<0.05)であった. 潅流中のレノグラムではMn無使用群のTmax, T 1/2の延長にくらべてMn使用群のそれは軽度であった. 血清, 尿電解質, 浸透圧クリアランス, 自由水クリアランスにおいては各群間の有意の差は認められなかった. 潅流中の平均動脈圧が80mmHg前後では糸球体の墨汁粒子の取込みに差は認められなかったが, 潅流中の平均動脈圧60mmHg前後の予備実験ではMn使用群に明らかな(p<0.05)墨汁粒子の取込みの増加を認めた. 高張Mnの体外循環中持続投与は潅流中の尿量減少を抑制し, また腎血流量の減少を防止する作用があり, とくに体外循環離脱前後の血圧低下の際に有効であると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環, 開心術後腎不全, 高張マニトール, レノグラム
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