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近年, カリウムを主体とした薬物的心筋保護法が心冷却法と併用して広く普及しているが, これら薬剤単独の心筋保護効果に関してはいまだ不明な点が多い. そこで今回は, Young液, GIK液, 代謝調節剤(Cenzyme Q10), 抗カルシウム剤(Verapamil)および冠拡張剤(Dilazep)などの常温下(心筋温37℃)45分阻血における心筋保護効果をmyocardial contractilityの面より検討した. 犬摘出左室心筋冠潅流標本につきisometric tensionおよびdT/dtを測定し, 阻血前後の値を比較してその%recovery rate (%R)を心機能回復の指標とした. 実験群および成績は次のごとくである. A-series:Group I(常温下45分阻血):%R=70±5, Group II(心筋温30℃45分阻血):%R=100±3, Group III(Young液冠潅流）:%R=70±3, Group IV(GIK液):%R=28±4, Group V(Coenzyme Q10):%R=67±6, Group VIa(Verapamil 0.3mg):%R=40±5, Group VIb(Verapamil 0.01mg):%R=69±8, Group VII(Dilazep 0.3mg):%R=100;. 以上の成績よりYoung, GIK, CoQ10, Verapamilなどの冠潅流は常温下45分阻血の条件下では心筋保護作用を示さず, 一方, Dilazep冠潅流は明らかな心筋保護作用を示した. さらに, Dilazepの心筋保護効果の作用機序を検討するために施行したB-seriesの実験において, Dilazep前処置15分後Young液による急性心停止を行った群では%R=100±3で, Young液を併用しない群に比較し%Rは明らかに良好で, Dilazepの心筋内高エネルギー燐酸の蓄積作用が示唆された. また, myocardial contractilityおよびFrequency-force-relationに及ぼす効果よりみて, Dilazepは軽度の抗カルシウム作用を示し, したがってreperfusionにおける心筋内カルシウムのeffluxおよびinffluxの改善もその作用機序の1つと考えられる. |
