アブストラクト(28巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術における心筋保護の研究(I)実験的研究
Subtitle : 原著
Authors : 飯田善郎, 岩喬
Authors(kana) :
Organization : 金沢大学医学部第1外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 7
Page : 1137-1147
Year/Month : 1980 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 各種心筋保護液を用いて心拍を停止させ4時間にわたる大動脈遮断下に間欠的冠潅流を施行し比較検討を行った. 心筋障害の程度を評価するにあたっては定性的には電子顕微鏡により心筋の微細構造を観察し, 定量的には心筋内乳酸含有量を測定して評価した. その結果以下のことが判明した. 1. 初回潅流液にカリウムを付加していない群は心停止までに大量を必要とし, しかも完全なる心停止の得られない例が高率にみられた. 急速かつ完全な心停止状態を得るためには, カリウムなど薬物的要素の不可欠なことが確認された. 2. 冷却5%ブドウ糖液, 常温高カリウム液(30mEq/L)使用群は, 全群の中で最も重篤なる心筋障害を示していた. しかし両群間に有意差はみられなかった. 3. 当科にて独自に作成し従来より使用してきた非血液性心筋保護液, およびGIK液はともに良好なる保護効果を示した. しかし両者間に有意差はみとめられなかった. 4. ステロイドを心筋保護液に付加した群は非付加群に比しやや良好な印象を与えた. 5. 血液性心筋保護液使用群では, 追加潅流液にカリウムを付加した群に比べ非付加群の方が良好なる保護効果を示した. 6. 全群の中では追加潅流にカリウムを付加しなかった血液性心筋保護液が非血液性心筋保護液と比較しても, 最も良好なる保護効果を示した. 血液性心筋保護液においては追加潅流にカリウムを付加しない方がより効果的な方法と思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心筋保護, Blood cardioplegia, ミトコンドリアスコアー, 乳酸
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