アブストラクト(28巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺動脈弁血液嚢腫(blood cyst)の1手術例
Subtitle : 症例
Authors : 小川邦泰, 田村栄稔*, 跡部正明*, 松本学*, 平塚博男*, 植村富士男**
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学心研外科, *国立大阪病院循環器外科, **国立大阪病院病理
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 7
Page : 1162-1169
Year/Month : 1980 / 7
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺動脈弁左尖に発生したblood cystにより弁性狭窄をきたした症例を経験した. 患者は28歳男子で, 幼児期より心雑音を指摘されていたが, とくに症状もなく放置していた. 術前の心カテーテル検査では, 右室-肺動脈間に84mmHgの圧差を認め, 引き抜き圧曲線は弁性狭窄のpatternを示した. 右室造影で肺動脈弁位に心周期に一致して動く陰影欠損を呈するも, これを見過し手術時に初めて確認された. 手術は, この嚢腫壁の肺動脈側を切除し, その右室側は形成を加え左尖弁として残した. 術後検査にて, 極く軽度の肺動脈弁逆流を認めたが, 圧差は17mmHgと減少していた. 成人のblood cystの報告は比較的稀で, 本邦ではさきに川副・池田らの報告を見るのみである. はじめに 新生児や乳児の房室弁(稀に半月分)に見られるblood cystは古くから知られており1), これは心疾患とは関係なく認められ, また生後6ヵ月以降はそのほとんどが自然に消退するため, 病理学的重要性に乏しいとされている2)~5).
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 血液嚢腫(blood cyst), 純型肺動脈弁狭窄症, 右室流出路狭窄, 心臓腫瘍
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