Abstract : |
雑種成犬20頭を使用し, 潅流冷却・潅流加温による超低体温実験を行った. 体外循環にはpulsatile assist device (PAD)を使用する拍動流完全体外循環による群と, 通常の定常流完全体外循環による群の2群につき実験を行った. 脳温20℃まで冷却し, 40分間の全身血流停止を行った後, 脳温20℃を保ちながら40分間体外循環を行い, 再び20分間の全身血流停止を行った. その後は急速復温により, 脳温35℃まで復温した. 冷却過程において, 拍動流群のcerebral excess lactate (ΔXL)(Huckabee)は, 非拍動流群に比して有意の低値を示した(p<0.01). 第1回循環停止解除後, ΔXL値は20分後に最高値を示し, 30分後に最低値を示した. この傾向は特に拍動流群において著明であった(p<0.1). しかし, この中間バイパス中における両群のΔXL値には有意差はみられなかった. 以上より, 潅流冷却, 潅流加温法に拍動流体外循環を使用すれば, 脳組織の冷却時における嫌気性代謝が有意に抑制され, 術後脳障害を引き起こすことなく, 安全に超低体温下乳児期開心術が可能であると考えられる. |