Title : |
人工弁置換後の脳血管障害-CT scanとの関連- |
Subtitle : |
原著 |
Authors : |
大谷信一, 坂下勲, 安藤武士, 松川哲之助, 江口昭治, 栗田勇* |
Authors(kana) : |
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Organization : |
新潟大学医学部第2外科, *新潟大学脳研究所脳神経外科 |
Journal : |
日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : |
28 |
Number : |
9 |
Page : |
1365-1372 |
Year/Month : |
1980 / 9 |
Article : |
原著 |
Publisher : |
日本胸部外科学会 |
Abstract : |
人工弁置換後遠隔期合併症のうち最も頻度の高い脳血管障害について, 主にStarr-Edwardsボール弁, Bjork-Shiley弁置換例の13年間の追跡成績について述べ, 近年普及してきたCT-scanにより調査した所見と社会復帰状況について述べる. 昭和40年以来の弁置換耐術295例中59例(20%)に脳血管障害を認めた. このうち臨床的に一過性あるいは遷延性脳血栓塞栓症と診断したものは18.7%, 脳出血は1.4%であった. 脳塞栓のうち70%は抗凝固剤中止中に発生し, 脳出血は細菌性心内膜炎, 肝炎等の合併症発生時に抗凝固療法が不適正であったことに起因していた. 人工弁置換症例に認められる脳虚血発作を即脳血栓塞栓症と考えがちであるが, 脳出血と鑑別することが, 後の治療方針決定のためにも重要である. このための診断手段としてCT scanは侵襲が少なく, しかも返復実施することができ, 弁置換後症例のように抗凝固剤服用中の患者にはことに有用である. 脳血管障害例の遠隔期回復度は発作の急性期重症度以上に, 遠隔期でのCT scan所見と一致し, 脳梗塞像と脳萎縮のみられる症例は社会復帰が困難であった. しかし梗塞像のみの症例ではよく社会復帰している症例もあった. 一方臨床的には脳虚血発作は繰返し発症することが多いので脳梗塞像のみられる場合は遠隔期の抗凝固療法をとく厳重に行う必要がある. |
Practice : |
臨床医学:外科系 |
Keywords : |
人工弁置換, 脳血栓塞栓症, CT scan, 社会復帰 |